茜は、自分のノートに書いた
「自分の人生をどう生きるか」
という、
どこにでも転がっているような言葉を、
だけど一方で、
真剣に深く自分が自分で、理解し納得
した上で生きていれば、この言葉に
反応するはずがないという事に
気がついてしまった。
思い返せば、子供の頃に描いた夢
「幼稚園の先生になりたい」
「TVで紹介される位のケーキを作る
パティシエになる!!こっち!」
から始まって、
・大学進学、学部、専攻内容を
決めた時
・進路を決めた就職活動の時
・結婚をするかどうか迷った時
に、心のどこかで、
模範回答を得るような決め方、
そう、
周囲の目を気にしてたのかも、
親の考えを自分の思いかのように、
仲の良い友達のアドバイス、
どれも悪気のある人はいなかった
だろうが、
自分にとって、最も大切な
「本音の声」
をしっかりとキャッチして、
選択をしてなかったのではないか?
期限が迫っているから、とかの
理由もあって、
取り敢えず決めたとか?
無難な方、周囲の誰も反対しない方、
心で決めず、頭で決めたとか?
感情的憧れで決めたのかも?
Feelingではなく、Emotionで
決めちゃった?
本質ではなく、条件で決めた
のではないか?
だから、あのカフェで話していた
女子大生らしい人たちの声が
ひと際、聞こえてきたのではないか?
私、このまま生きていくと、
漫然と生活だけをするだけで
人生が終わってしまう事を、
心は知っていて、その声を届けた
のではないか?
もう一度、
「人生をどう生きるか、よね」
この言葉を確認、いや大切に抱く
ような感じで、
スケジュール帳に
書き移して持ち歩き、朝の電車の中、
始業時、休憩の時、仕事帰りに
何度も何度も眺めた。
あっという間に1週間が経って
しまったが、
その中で、浮かんできた、
「これかもしれない」
と思いついたことを、すぐさま手帳
に書いては、
少しずつ行動に移していった。
例えば、、、
「新しいことに挑戦してみたい事」
まずは何でも即座にでもできる
事から、やってみた。
口紅を変えてみて、メイクの色合い
も変えてみた。
職場では、突っ込まれないように、
化粧品以外は変えず、プライベート
では、香水と服装を変えて出かける。
今まで、読んできた本とは全然違う
ジャンルの恋愛小説なんか読みだした。
15分早起きして、散歩して大地に
足裏をつけて、アーシングも
取り入れ、地球のエネルギーを
受け取ってみた。
茜は、実は、もともと学習欲が
高かった。
自己向上欲とも言えるかもしれない。
社会人になって数年後から、
高校生の頃に、あんなに勉強嫌いだと
思っていた自分とは裏腹に、
「このままでは足りない」
「もっと、自分を良くしたい」
「もっと、自分で色々解決できる
人になりたい」
「他人の世話になると、後から
恩返しを迫られることに
なりかねない」
と時間と気持ちに無理のない範囲で、
自分磨きをしてきた。
でも、色々と取り組んだはずなのに、
どれも中途半端に
なっていた気がする。
一度、学んだだけ。
聞いただけ。
知ってると言えるだけ。
何も見ずに、人に伝えられるほど、
身につけるまでになっていない。。。
学んでる事に満足して、
次々と
お金と勉強時間は費やしたのに、
身につかないことを教材や教えて
くれている人のスキルや相性のせい
にしていたかもしれない。
あの頃とは興味や関心の向くことは
違ってきているけど、
なんとなく心の声に導かれるかの
ように、
今を変えられるかもしれないと
感じられる学びに目を向け、
ネット検索をしてみた。
すると、溢れるくらいの情報がある。
どれも、
「自分を変えることができる!」
と主張している。
しかも、簡単に、とか
この3つのポイントをするだけ、
とか。
「そんなもんなのかなぁ…」
自分を向上させることにつながると
ピンきた事には、積極的に
本を読んだり、セミナー参加すること
SNSでそんな発信をする人のフォロー
をして、投稿をたくさん受け取ったり
もした。
だんだんと、
「もっと自分の時間を大切にしたい」
「ずっと興味があった趣味に時間を
使ってみたい」……
「自分の可能性を発見してみたい」
そんな些細な願いから始まり、
少しずつ大きな夢や目標も出てきた。
長い間、心の中に閉じ込めていた想い。
けれど、いくつかのことを始めてみる
ものの、
どこかで不安が拭い去れない。
「これで本当にいいのかな?」
「そうだよね、簡単に変われれば、
楽じゃん、難しいよね」
「どうせ、ひとりだもん、
どっちでもいいよね?」
「大したことを成し遂げようと
思ってないもん」
と、元の思考パターンに戻りそうに
なる茜がいた。
そんな問いが頭をよぎることが
幾度かあった。
小さな一歩を踏み出したものの、
先が見えない道を進んでいる感覚は
変わらなかった。。。
ある時、
「あれ!?
この考え方、以前に味わっているわ」
「これを変えたくて、私、改めて
色々考えたのよね?」
「どんなに新しいこと、
教え、ノウハウを学んでも、
この私のパターンが続くと、
行動が変わらないし、取り組み方も
変わらないから、同じ結果になるわ」
「ノウハウを、どういう心持ちで
受け取り、捉え、考え、その後
行動するか?
これこそが、結果を変えるのよね?」
「これは、ノウハウに限らないわ。
何にでも当てはまるわ」
「どう捉えるか?の私の受け取り方よ」
「でも、ここが肝心でも、難しいわ」
2~3か月経ったある日、
茜が色々と手を伸ばした情報源の中に
人生を変える主旨の
Facebookグループがあり、
大阪の人のコメントがあった。
その人は、同じ40代の女性で、
北新地で働いている女性だった。
離婚歴があり、女手一つで7歳の
男の子を育てている。
水商売歴20年、そろそろ引退するか
ママとして店を出すか?考えていた
時に、
ライフコーチという職業の人と
出会い、
自分の人生を洗い出してみるという
話に興味が出て、
受けてみた、ということだった。
3か月間取り組んで、
ライフコーチに人生で本質的に
重要なポイントをついたアドバイスを
自分用にしてもらい、全体を網羅して
ワークシートに書き出し、
生活習慣まで変わったところ、
人生が劇的に変わってきたと言う。
「自分がいかに、自分を生きて
いないか、活かせていないか、
自分の中の深い
本音の声を無視してきたか」
「生活の為に生きているような人生
で、人生の為に生きていないのか」
「このままでは、自分の人生を
過ごせないまま、
人生の終盤に入っていくのか」
ということをライフコーチの観点から
指摘され、
聞きたい答えではなく、必要な答えを
教えられ、
事実に向き合い、ワークに取り組んだ、
とのこと。
それによって、
自分自身の魂レベルでやりたいことが
明確になり、
行動する力を与えてもらった
という話を聞き、茜は興味を持った。
「ライフコーチか……私にも何か
変われるきっかけがあるかもしれない」
茜は、インターネットで
そのライフコーチの情報を
調べてみた。
彼は、スピリチュアルな視点も
取り入れたコーチングを行っている
とのことだった。
最初は少し怪しいと感じたが、
レビューを見ると、
心から感謝の声が多く、
実際に彼の助けで前に進んだ
という人たちが多くいた。
茜は、そのライフコーチに
一度会ってみることを決めた。
最初の体験セッションは、
茜が思っていた以上にリラックスした
雰囲気で進んだ。
Zoom画面越しだが、
温かい柔和な笑顔でコーチは静かに
茜の話を聞いてくれた。
「私、何か変わりたいんですけど、
何をどうすればいいのか
わからなくて……
ずっともやもやしていて」
茜の言葉をコーチは黙って聞いていた。
そして、しばらくしてから、
優しく微笑んで言った。
「茜さん、その気持ち、
すごく大切ですよ。変わりたい、って
思っていること自体が、
すでに大きな一歩なんです」
その一言で、茜の肩の力が少し抜けた
気がした。
自分の中で何かを変えたいという
強い思いがある一方で、
どこかで「自分にはそんな力が
ないんじゃないか」という不安が
ついて回っていた。
しかし、そのコーチの言葉は、
茜のその不安を少し軽くしてくれた。
「何を始めればいいのか分からない
とき、一番大切なのは、
まず自分の心の声を聞くことです。
忙しい毎日の中で、
自分の本当の気持ちを置き去りに
してしまっていることが多いんです。
だから、
まずは自分と向き合ってみましょう」
そのセッションで茜は、
心の中で押し殺していた気持ちを
少しずつ言葉にしていった。
そして、コーチの優しいガイドの
もとで、
これまであまり意識していなかった
「自分が本当に求めていること」
に気づき始めた。
「私は、もっと自由になりたい……
自分で自分を縛っていることに
気づいていなかったんです」
ライフコーチは静かに頷いた。
「その気づきが、次のステップに
進む鍵です。
自由になるためには、
まず何を手放すべきかを
考えてみましょう。
何が茜さんを今まで縛っていたのか、
その一つ一つを
見つけていくことが、自由に
近づくための大きなステップです」
茜は、その言葉に深く頷いた。
確かに、
今まで自分自身を制限していたのは、
外からのプレッシャーだけではなく、
自分が作り上げた思い込みや
不安・恐れだった。
何かを失敗すること、
周りの期待に応えられないこと、
そういった不安が自分を
縛り付けていたのだ。
セッションの終わりに、
ライフコーチは茜に
一つの課題を出した。
「今週は、何か一つ、
これまで自分を縛ってきたものを
手放してみてください。
それが小さなことでも大丈夫です。
自分のルールを少し緩めてみましょう」
茜は、その言葉を胸に刻んだ。
翌日から一週間後、
茜はライフコーチの課題を
実行に移し続けていた。
彼女が選んだ「手放すもの」は、
自分を「完璧に見せよう」
とする習慣だった。
仕事でもプライベートでも、
茜は常に周りからの期待に応えようと
努力してきた。
誰にも弱さを見せたくないし、
失敗することを避けるために、
常に慎重に行動していた。
しかし、その一週間、
茜はあえて「完璧ではない自分」
を周囲に見せることに挑戦した。
仕事でちょっとしたミスをしても、
焦らずに冷静に対処し、
後輩に助けを求めることもした。
友人との会話でも、
これまで遠慮がちにしていた自分の
本音を少しずつ語るようにした。
最初は不安だった。
周囲の反応が怖かったからだ。
だが、思っていたほど
大きな問題にはならなかった。
むしろ、彼女がリラックスしていると、
周りも自然と打ち解けた感じがした。
「意外と、こんなに楽になるんだ……」
それは茜にとって大きな気づきだった。
完璧であることに固執していた
自分は、実際には多くのストレスを
抱えていたことに気づいた。
そして、それを手放すことで、
思っていた以上に自分が軽くなった
ことを感じた。
次のセッションで、
茜はそのことをライフコーチに話した。
「自分の弱さを見せることが、
こんなに楽になるとは
思っていませんでした。
完璧でなければならないと思っていた
のは、私自身だったんですね」
コーチは優しく微笑んで言った。
「そうですね。
完璧である必要はないんです。
私たちは人間だから、
失敗することもあるし、
完璧じゃなくても大丈夫なんです。
大事なのは、どうやって
その失敗から学び、次に進むか
ということなんです」
その言葉に、茜は深く共感した。
自分を縛っていた「完璧主義」という
鎖を手放したことで、
次に進むための自由が少しずつ
広がってきたことを感じた。
第2回目のセッションを終えた茜は、
心の中で大きな変化を感じていた。
まだ道のりは長いかもしれないが、
確実に一歩ずつ前に進んでいる
感覚がある。
そして、それは自分一人では
気づけなかったことだと実感していた。
ライフコーチとのセッションを通じて、
自分自身と向き合い、
変わるための具体的な行動を
取れるようになってきた。
「これからも少しずつ、
でも確実に進んでいこう」
茜はその日、
次のステップに進むための決意を
新たにした。
第5回以降へ続く…
次回のブログでは、茜が新たに挑戦する
次の課題と、
さらなる変化の過程をお伝えします。
お楽しみに!